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読書 : 坂の途中の家 角田光代

食いしん坊エッセイ[まひるの散歩]がおもしろかったので、チャレンジ。

こちらは、裁判員制度に参加した主人公が、段々と自分と境遇が似ている被告に自分を置き換えてしまい、混乱していく狂気の小説でした。被告と自分の区別ができないように、主人公は主客の区別ができず、客観的な視点がなく主観的な考えだけで行動してしまう。それは、周りの夫や被告、さらにはその母等も同様で、そんな人はいないと断言し自分の価値観だけで人の話も聞けず、裁判に派手な服を着て、自分の言い訳のために答弁をしてしまうような、全員が自分中心に生きている。

裁判が終わった後に週刊誌だけが真実を捕まえるような、この後味の悪さ。一体何だったのかと。。。

八日目の蝉以来の人間の心情をえぐる作品でした。

坂の途中の家 (朝日文庫)

坂の途中の家 (朝日文庫)

  • 作者:角田光代
  • 発売日: 2018/12/07
  • メディア: 文庫