読書 : Killing Commendatore Haruki Murakami
700ページ超の大作。英語版で読破。半端ない達成感あり。今年は、これやりとげたので満足。
内容は、コーヒー☕️を飲み、サンドウィッチ🥪を食べ、レコード🎵を聞き、ウィスキー🥃を飲み、ジャガー🚘が坂を登る表現が多い。
これがなければ、本の分量はおそらく半分ぐらいになる。かなり作者の趣味が全面に出た作品。
(かっこよ)な名言が多く読んでいて楽しい。
【好きな名言集】
-Coffee as black as a moonless night.
(仮約:新月の夜と同じぐらい黒いコーヒー。)
ブラックコーヒーにまで比喩表現を用いるこのサービス精神は凄い。真っ黒だぜ。
-The man with the white Subaru Forester
(仮約:白いスバルホレスターの男)
the girl with the dragon tatoo みたいでなぜか英語だとめちゃカッコいい。不気味な感じが良く出ている。
-Memory can give warmth to time. And art can—when it goes well—give shape to that memory, even fix it in history. Much as Van Gogh inscribed the figure of a country mailman on our collective memory so well that he lives on, even today.
(仮約:記憶は暖かさを時間に残すことができる。アートは形を記憶に留めることができる。それは歴史でさえも。ヴァン・ゴッホが書いた田舎の郵便夫の姿は、私たちのみんななの記憶にあり、同時に彼はおそらく今日も生きている。)
ゴッホの朴訥な郵便配達夫を思い出させますね。おそらく世界中の人が共感できる。この小説の中で1番記憶に残った名言。
調べたら、この郵便配達のおじさんは、ルーランと名前もあるのですね。あなたのお顔は世界中の人々の中で、生き続けてますよ。イーブン、トゥデイ。
-Her face still as impassive as the white winter moon.
(仮約:彼女の顔は、白い冬の月のようにまだ無表情だった。)
冬の厳かな空気の澄んだ日の満月を思い出させますかね。お上品かつお静謐な雰囲気が伝わり好きな表現。
-It shut down quietly and naturally, like a locomotive pulling into the last station.
(仮約:終わりは静かで自然だった、まるで汽車が最後の駅に到着するように。)
人が亡くなった時の表現。決められたレールの上を走り、運命に抗うことができず、静かにその時を迎えることを現した名言。そもそも、ロコモーティブ( 汽車のこと、この単語を使うことはなかなかない)という言葉だけでも、男子的にはかなりカッコイー。🚂
-Unreality can enter the realm of the real or reality can become unreal.
(仮約:非現実が現実の領域に入ってこれたのか、または現実が非現実になれたのか。)
この展開ほかの小説でもあったような。。。夢と現実が混ざり合う。
ザ・レルム・オブ・ザ・リアルが、韻を踏んで良い感じ。レルムは、世界とか領域など。
-The human realm is ruled by three elements: time, space, and probability. Ideas, by contrast, must remain independent of all three.
(仮約:人間の世界は時間、場所、蓋然性の3つに支配されている。イデアは、反対に3つ全てから独立している。)
時間と場所は分かるが、プロバビリティ[蓋然性]がポイント。
世界には何一つとして確実なことはなく、可能性で成り立つ。そうであるかもしれないし、そうではないかもしれない。それが人間の世界。
また、人は信じる物がないと生きていけない。そのように解釈しました。
-“He was someone who stood out,” he said after a moment’s pause, “like a man wearing an orange cone hat in a packed commuter train.”
(仮約:彼は、目立っていた。満員電車の中でオレンジコーンの帽子を被っているように。)
-“That’s a simile, not a metaphor,” I pointed out. “
(仮約:それは直喩で、メタファー[隠喩]ではないよ。私は指摘した。)
Let me try again. ‘He lived as though he were wearing an orange cone hat in a crowded train.’
(仮約:もう一度やらせて下さい。彼は満員電車でオレンジコーンの帽子を被るように生きた。)
“That makes no sense. It’s still not a true metaphor. Your story doesn’t hold. I’ll just have to kill you.”
(仮約:理解できないし、まだ本当のメタファーではない。あなたの話は分からない。殺すしかない。)
Long Face’s lips trembled with fear.
(仮約:ロングフェイスの唇は恐怖で震えた。)
人の形をしたメタファーが、いまひとつなメタファーを言って、さらにこの表現はメタファーではないと嗜められる、ほこほこするシーン。
1人殺すのも2人殺すのも同じと、騎士団長殺し後の強気になっている主人公。それとorange cone hat って一体何よ。
ちなみに、メタファーは、広く比喩表現の事だと思っていたけど、厳密には隠喩だったのね。有名な[キャウリのようにクールに、カラスのようにミステリアス]もsimile表現になりますね。
-The tall man standing before me had no face. The man was wearing what looked like a dark raincoat.
(仮約:私の後ろにたっている背の高い男には顔がなかった。男は暗いレインコートのような何かを着ていた。)
まじ怖いんですけど。真っ黒な顔がない何かがいたら、そら怖いです。
ようやく話が急展開。
いや、ようやく話が起承転結の[起]、いや、まりえの行方不明が[起]で、顔の無い男がでてくるあたりが[承]ですかね。ここから物語は核心に入る。この話、進行が遅いんです。
-Yuzu
(仮約:ゆず)
何がしたいのかまったく意味不明な人。イデアとメタファーの方がまだ目的を持っており存在に意味がある。結局何がしたかったのか分からない。この人いなけりゃノーベル賞。
-AS A FORM OF GRACE
(仮約:神の恩寵の形態のように)
最終章のタイトル。まだまだ気になる名言ありますが、最後。
graceは、辞書を引くと、[神の恩寵]や[天啓]といった意味があるらしい。非常に格式高い言葉。ホロコーストや津波など負の出来事があるなか、新しい命、神からの恩寵、幸せを、人は持っている。
全体を通して、likeやas ifといった比喩表現が多く一つ一つの行動については明確にイメージができる反面、全体を通して出来事や内容に対しての詳しい説明がなく、解釈は読者に委ねられる。そんな作品でした。
日本語のは読んでないので、日本語訳は適当。
Killing Commendatore: A novel (English Edition)
- 作者:Murakami, Haruki
- 発売日: 2018/10/09
- メディア: Kindle版